第1章　ロケット軍の編成・配備

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１．１　編成

　中国の戦略ミサイル部隊は、2015 年 、「第2砲兵」から「ロケット軍」と名称が変更された。ロケット軍は、弾道ミサイル及び地上発射長距離巡航ミサイルを運用する独立「軍種」である。即ち、中国の軍種は、陸・海・空に加えて「ロケット軍」の4種あることになる。

　Wikipedia 「中華人民解放軍ロケット軍」によれば、ミサイル部隊は、8 個の導弾発射基地に分かれ、30 個の導弾旅（ミサイル旅団）を擁するとしている。また、導弾発射基地には、第51～56までの部隊番号付され、2～8 個の導弾旅が属している。

　一般的な陸軍の指揮階梯に従えば、「軍」、「軍団」、「師団」及び「旅団」になっているので、名称をこれに倣う。次に、ロケット軍の編成・配置表を示す。なお、旅団には、2 ～ 3 個の「ミサイル大隊」が編成されている。

  表1-1                         ロケット軍の編成・配置
軍 隷　下　旅　団
51軍 806旅団 810旅団 816旅団 822旅団 826旅団 　 　 　
瀋陽 韓城 金州 通化 菜蕪 滄州 　 　 　
52軍 807旅団 811旅団 815旅団 817旅団 818旅団 819旅団 820旅団 827旅団
稽嶺山 地州 祁問 樂平 永安 梅州 韓州 金華 韶関
53軍 802旅団 808旅団 821旅団 822旅団 828旅団 　 　 　
昆明 建水 楚雄 柳州 清鎮 昆明 　 　 　
54軍 801旅団 804旅団 813旅団 830旅団 　 　 　 　
洛陽 霊宝 　 南陽 信陽 　 　 　 　
55軍 803旅団 805旅団 814旅団 824旅団 825旅団 829旅団 　 　
懐化 靖洲 通道 会同 宣春 清遠 洞口 　 　
56軍 809旅団 812旅団 823旅団 　 　 　 　 　
西寧 大通 天水 庫爾勒 　 　 　 　 　
101軍  (注) 部隊名「101軍」は筆者が付した番号、原文では「晋北基地」
太原  第 2 撃能力としての、戦略予備か？、DF-4号、DF-31 を装備
102軍  (注) 部隊名「102軍」は筆者が付した番号、原文では「河北基地」
宣化  第 2 撃能力としての、戦略予備か？、DF-4号、DF-31 を装備

１．２　配備

　「表１－１」に示す　軍と隷下の旅団を地図上に配備して以下に示す。（地図：2018 「世界地図、成美堂出版」）

　図１－１　　ロケット軍配備図
Rocket_Troop_Deployment

　配備図において、赤線で連結した 第 51,52,53 及び 56 軍は周辺配備部隊であり、緑線で連結した第 54 及び 55 軍は中核配備部隊である。なお、北京近傍に配備されている第101及び 102 軍は、第2撃（報復反撃）のための戦略予備部隊と思われる。

　通常、砲兵は射撃に有利な陣地を偵察・占領して、射撃が終われば、直ちに陣地変換し。一地に留まることはないが、弾道ミサルのように、射程が長大な兵器になれば、サイロや堅固な洞窟陣地に依拠して、目標に応じて射向を振るだけ済むのであろう。広大、かつ後背に砂漠や険峻な山岳地帯を有する中国をもって許される戦略配備である。

 

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