脅威に対する数理的アプローチ

北朝鮮の「火星12」に迫る

第4章　「火星12」の最大射程を分析する

 4.1 「火星12」の最大射程

　83 °という hi-Lofted 角度で発射され、高度 2111 [km] に達した「火星12」は、果たして、どこまで飛ぶのだろうか？　ということが、大方の関心事であった。

　それを解く鍵は。前章で見てきたように、初速、ブースト段を伴う弾道ミサイルの場合は、Burnout 速度である。「火星12」の初速として、5, 601 [m/s］が得られ、この値を満足す最少エネルギー弾道の射程が、4, 500 [km] 付近にあることが分かったので、射程を、4, 000 [km]～5, 000 [km] まで、100 [km] 刻みで、増加して、初速=5, 601 [km/s] を満足する最少エネルギー弾道を探ることにした。なお、以下では、最大射程を単に、「射程」に呼ぶことにする。

　（注）初速がわかっても、初速（V）は、経路角（γ）と中心角（Φ）を含んだ複雑な式であるので、初速から、直接、射程を求める公式はない。ここでは、最少エネルギー弾道を求めるプログラム使用している。

　１　射程に対する弾道高

　　　以下に、「火星12」を含め、求めた 12 の弾道のうち、射程 4, 000 、4, 500 、5, 000 [km] 及び「火星12」の弾道を示す。

図4-1 射程に対する弾道高

　　　　「火星12」 の射程は、約、4, 400 [km]、最大弾道高は約 860 [km] であり、射程 4, 500 [km] の弾道に達していない。

　２　飛翔時間に対する弾道高

図4-2 飛翔時間に対する弾道高

　　　「火星12」 の飛翔時間は、約 1, 120 [s] （18分40秒）であろ。

4.2  射程 4000[km]台の「火星12」の特性

図4-3 射程 4000 - 5000 [km] の弾道における飛翔時間・最大弾道高

図4-４ 射程 4000 - 5000 [km] の弾道における初速・ロフト角

　　　　　　　　《まとめ》

                                     （注） 「火星12」の射程 = 4, 335 [km]

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