脅威に対する数理的アプローチ
北朝鮮の「火星12」に迫る
第3章 「火星12」の弾道を分析する
3.1 初速、飛翔時間
図3-1 に、TLOFT（Time-LOFT; 飛翔時間を増大させることによって最大弾道高上げる）に対する初速と飛翔時間を示す。前章で説明したように、飛翔時間は、TLOFT に比例するので直線になる。
| 図3-1 初速・飛翔時間 |
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初速も、ほぼ、TLOFT に比例して増大して、「火星１２」の TLOFT の値（1253[s]）に合致する初速の値は5601[m/s] である。
初速5601[m/s]を、最少エネルギーとする弾道ミサイルの射程は、第2章、図2-1「経路角に対する所要初速」において、概略、射程4500 [m/s]の曲線の極小点（初速5671[m/s]）に近い値であるから、「火星12」の射程は、4500 [km/s] と推定できる。
3.2 最大弾道高、ロフト角
図3-2において、「ロフト角」は「経路角」（水平面と弾道接線のなす角）である。「火星12」のロフト角の値が重なって読み取りにくいが、83.0 度である。垂直面から見れば、進行方向に ７度 倒して発射したことになる。
| 図3-2 最大弾道高・ロフト角 |
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最大弾道高の値は、小数点以下を四捨五入して、2112 [km]になっている。