集団的自衛権下の弾道ミサイル防衛

「集団的自衛権」限定容認下における弾道ミサイル防衛

☆☆☆ 抑止力向上に寄与するために ☆☆☆

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進む：1,1 最少エネルギー弾道　 1.2 最少エネルギー弾道の有用性　 迎撃ミサイルの作戦領域等

はじめに

　政府（安倍内閣）は、2014 年 7 月 1 日、これまで憲法解釈上できないとされてきた集団的自衛権の行使を限定容認する新見解を閣議決定した。

　安倍首相は、閣議決定後の記者会見で、中国の軍拡や北朝鮮の核・ミサイルの開発を踏まえて、戦争に巻き込まれないための抑止力の強化に狙いがあることを強調した。

　閣議決定を受けて、政府は自衛隊の具体的な活動内容などを定めた関連法案の「作成チーム」を設置して検討することにしているが、与党協議の際に「武力活動の行使」に当たり得る活動として政府が示した「８事例」再度取り上げられるであろう。

（注）「８事例」：①邦人輸送中の米輸送艦の防護　②武力攻撃を受けている米艦の防護　③強制的な停船検査　④米国に向け我が国上空を横切る弾道ミサイル迎撃　⑤弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護　⑥米本土が武力攻撃を受け、我が国近隣で作戦を行う時の米艦防護　⑦機雷掃海　⑧民間船舶の国際共同防衛

　そこで、本ホームページでは、事例：④米国に向け我が国上空を横切る弾道ミサイル迎撃　を取り上げて弾道の特性などを具体的に見ていくことにする。

　なお、過去４回（2009年3月、2012年3月、同12月、2013年4月）、北朝鮮の弾道ミサイル発射試験に際して「破壊措置命令」のもとに弾道ミサイル等を迎撃する態勢をとっている。

　その都度、北朝鮮が「人工衛星」と称する「弾道ミサイル」の弾道特性を分析し、その結果を踏まえて、グアム、ハワイ及米本土（西海岸、東海岸）攻撃の可能性と弾道の概要を示してきたが、閲覧者の便宜のため以下に、要約して再掲する。

　再掲する弾道ミサイルの弾道は、一昨年（2012.12.12）に発射試験に供されたTaepodong-3（銀河3号／光明星3号、推定最大射程 6,500-13,000 [lkm]）及び昨年（2013年４月）発射されるだろうと推測されていた Musudan （公称最大射程 2,500-4,000 [km]）である。

　以下、「Google Earth」上に、発射地基地を、舞水端里（40°51' 21'' N, 129°39' 58'' E）として、Musudan をもって Guam（Anderson AFB: 13°35' 02'' N ,144°55' 48'' E, 射距離 3,380 [km]）を、Taepodong-3 をもって Hawaii（Hikam AFB: 2121' 33''' N, 15757' 07'' W 射距離 7,020 [km]）、米本土西海岸（San Diego 海軍基地: 32°42' 54'' N, 117°09' 45'' W, 射距離 9,350 [km]）及び米本土東海岸（White House;: 38°53' 52'' N, 7702' 11'' W, 射距離 10,750 [km]）を攻撃するものと想定した弾道を示す。

（1）グアム「Andersen米空軍基地」に到達する弾道

　　ここで想定した弾道ミサイル（Musudan）の Payload の最大搭載質量は約 780 [kｇ] であり、これに対して、シミュレーションで用いた Payload = 650 [kg] は小さいので、低 Loft angle の弾道と高 Loft angle の弾道が存在する。

図1-A　舞水端里からグアム Andersen 空軍基地に到達する弾道